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【レビュー】アカデミー賞候補作品『おくりびと』

「ガーガガガガッガー」

ブルドーザーが後ろの建物を崩す大きな騒音に、
お経の声もかき消されるほどの、廃屋の葬儀場。

私の父と伯父、故人の娘たちと、その旦那さん1人。
そして当時、偶然札幌に学生として住んでいた私が、
参列者のすべてだった。

市役所から派遣された生活保護担当の職員さんと、
雇われのお坊さんが事務的に段取りをこなし、
出棺、火葬を淡々と済ませていく・・・

当然ながら、そこには納棺師なんていない。

・・・

義伯父の葬儀は、
今まで私が参列したそれの中で最も寂しいものだった。

実家と勘当して札幌に渡り、職もなく、
4人の娘は3人が知的障害。妻は10年前に他界。

病院に「支払ってもらえるのか」と疑われながら
受けていたガンの治療もままならずに亡くなった義伯父。

見送った私もまた、生前の彼をよく知らないのだった。

・・・

アカデミー候補に挙がっている、
本木雅弘企画・主演のおくりびと』。

納棺師になった本木さん扮する大悟が、
物心ついてから離れて暮らしていた父親を納棺するシーンで、
私の脳裏に義伯父の葬儀風景が過ぎったのは、

今の日本経済が前代未聞のカオスの中にあり、
日本で亡くなるどれだけの人が、ちゃんと納棺師の手で
棺に入れてもらえるのかがわからないからだろうか。。。

映画の中には、本当に色んな人の「死」と「生」が出てくるのだが、
事故・病気・自殺・非行、、、どんな形で死んだ人であれ、
納棺師に心を込めて棺に納めてもらえるのは、
最期の贅沢であり、最期の幸せなのだろう。

改めて、生前の自分がいかなるようにして「生きる」かを、
そして愛する人たちをどのようにして送ってあげられるかを、
見つめなおす作品だった。

ストーリーに添える、山形の鳥海山と最上川を望む景色が、
チェロの演奏で美しく描かれている演出も、心に染みた。

それにしても・・・

モックンはいつ見ても格好いいなあ~(惚)

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