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【レビュー】『水の彼方~Double Mono』 北京から空想を懐かしむ

中国の「80后(80年代以降に生まれた世代)」である25歳の若さで、
作家・ミュージシャン・女優という肩書きを持つ
「田原(TianYuan)」さんの新鋭小説、
『水の彼方~Double Mono』(講談社:中国語題『双生水莽』)

6月25日に日本で発売されました。

Water_cover_h1

水の彼方 ~Double Mono~

本の詳細
http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/topics/mizunokanata/

7月20日に、北京でも出版パーティーが開かれたのですが、
あいにく私は日本から帰ってくる飛行機の中。
順調に北京へ着いて、大急ぎで駆けつけたのですが、
残念ながら田原さんにはタッチの差でお会いできませんでした・・・

でも、田原さんが書き残してくださった、
サイン入り小説をいただきました。ラッキー!

Izm_0720

小説を日本語に翻訳されたのは、泉京鹿さん(写真右)。
泉さんが、「この小説は純文学だから、入り込むまでが大変と言われた」
と仰っていたのですが、確かに、最初はストーリーを楽しむ、
というよりも、一行一行を咀嚼するのに時間をかけた感じで、
翻訳された泉さんの使われる言葉に感嘆しながら読み進めました。

が、展開を重ねるごとに、どんどん本の世界に入り込んで行き、
読むスピードもどんどん速くなっていきます。まるで「ジプシー音楽」を
聞いているような感覚で
、終わりはあっけなく読了してしまいました。


主人公の陳言は、武漢の進学校に通うごく普通の女子高生。
友人とライブを楽しみ、たわいない会話を楽しみ、恋をする。
だけど、幼い頃から、現実と空想の世界を行ったりきたりしては、
幼馴染みの程克や友人たちを唖然とさせてばかり。

でも、この空想も、大人と子供の間で行ったりきたりする
ハイティーン世代ならではの心の中を表しているのでしょう。
具体的に描写されている空想世界には、昔、大学時代の授業で一度見た
「エヴァンゲリオン」を彷彿させるような場面もありましたが、
それだけでも、田原さんの描く世界、田原さんそのものに
中国80后の価値観やカルチャーの一部を垣間見た感じです。

実は私も、
ここまで深い異空間に飛んでいくことはなかったけれど
幼い頃から空想の世界を脳裏に描くことはよくありました。

だけどそれは大人になっていくにつれて、
現実世界に翻弄されていくようになると、
いつの間にか空想の世界はだんだんしぼんでいきました。

小説にも出てくる、両親、先生など周囲の大人と交じり合って
戸惑いを感じながら、ゆっくりゆっくり、大人に変わっていったのでしょう。

人の歩みというものは、水のようなゆっくりとした時間の流れに、
自然に乗せられ進んでいく・・・それはまるで『水の彼方』のよう。

舞台は中国で、主人公も中国人の女の子という物語だけど、
日本人の女子高生も、世界の同じ世代の人たちも共鳴しそうです。

日本語の小説を読んでいると、原文が気になったので、
先に田原さんのブログを読んでみました。

【田原さんのブログ】
http://blog.sina.com.cn/tianyuan

作家・ミュージシャン・女優の肩書きを持つ彼女だけに、
選ぶテーマや表現は、やっぱり個性的で面白いです。


---

余談ですが・・・

物語の舞台、武漢は中国湖北省の省都。
三国志時代には赤壁の近くにあり孫策や孫権が活躍し、
李白が歌を読んだ唐の時代、日本や欧州の租界だった戦争時代
あらゆる歴史を残し、今でも世界中の風景を持った街が展開されています。

さだまさしさんの泣ける名曲『椎の実のママ』を脳裏に流しながら、
かつての地名・漢口を口にすると、途端に風景は1940年代。

Jianghanlu

江漢路で、欧風の建物の間をプラタナスの街路樹に吹かれて歩き、
長江の埠頭で、海へ向かって出帆する船を眺めていると、
シルクハットで長身の老人とドレスの貴婦人が舞踏会に向かう姿が見え、

黄鶴楼の最上階から長江を眺めると、李白の友人が旅立っていく。

色んな「空想」を楽しみながら歩ける街です。

・・・あれ?

武漢という街が、空想世界を生み出しやすい街なのでしょうか?

無知な私は、北京生活が始まった時に、
こういうところで初めて「田原」さんのことを知りました。

今、調べたら、田原さんの2作目の主演映画『詛咒(呪い)』 でした。
http://koma.cocolog-nifty.com/emmy/2005/11/post_6f83_1.html

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Comments

いいですね。自分も2005年北京出版社により「青春过隙,我们玩点形而上」というタイトルの長編小説が出版されていたのですが、日本語に翻訳され、共感を頂ければいいなーと今思っています。盛岡出身ですね?自分も最初に日本留学に来た時に3年間住んでいた町は盛岡でした。現在東京在住です。これからもブログを拝見させて頂きます。宜しくお願いします。

Posted by: Miss.Yellow | August 29, 2011 at 04:23 PM

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