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永田町の市民メディア『KAN-FULL TV』の舞台裏―下村健一さんが報告会

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市民メディアサークル「東京視点」のアドバイザー兼
元TBSキャスターで内閣審議官の下村健一さんが
1年間にわたる菅直人前首相広報官としてのお勤めから帰還(?)
菅政権を伝え続けた1年間の経験を携えて報告会を開かれました。

下村さんがこの1年間、主に行ってきたことは菅政権の広報的役割。
『菅直人内閣総理大臣―首相官邸ブログ(KAN-FULL BLOG)』

Logo
「KAN-FULL BLOG」ロゴ

その中でも28本に及ぶ「KAN-FULL TV」は、
下村さんの専門としてきた映像メディアを通じて、菅政権の取り組み、
国際会議や震災対応等、1年間をわかりやすく伝え続けてきました。

『KAN-FULL TV』
http://kanfullblog.kantei.go.jp/kanfull_tv/
 

この番組制作を通じて下村さんは、大手メディアが
「権力の監視役」としての立場で批判報道に集中する中、
逆の立場として「菅さんの広報」に徹底してきたと言います。

両方の立場があってしかるべき民主主義社会なのですが…

「これを知っている人はおそらく国民の1%程度
というほど、存在があまり知られていなかったことは残念でした。
「このサイトも、所詮大手メディアが伝えないと見ないよね」…汗)

・・・

というわけで、報告会ではこの「KAN-FULL TV」を通じて、
1年あまりの菅政権がどんなことをしてきたのか、何故
大手メディアはそれを伝えなかったのか、という点に絞られました。
※「外部者から見た政界はどんな所だったのか」という話も
盛り上がりましたが、収まりきらないので省略します。

下村さんがこのサイトを通じて挑戦してきたのは、
かねて制約が大きい大手メディアでも試してきた
「同じ事件でも、違う角度から伝える」ということの実証。

TBS時代の下村さんの経験で有名なのは
たとえば、北京五輪を前にした長野での聖火リレー事件
他局が「中国人とチベット独立支援者の対立」を仕立てる中、
TBSのみ「聖火リレーを応援する街頭の人達」という映像を集めて
放送した内容は、視聴者から様々な意見が届いたそうです。

「KAN-FULL TV」の震災対応についても数本放送していましたが、
大手のテレビを見た視聴者の記憶に残っているのは、繰り返し流れた
「避難所を訪れた菅さんに怒鳴る住民」のシーンでしょう。
実はこの話には続きがあって、下村さんはその部分、
「怒鳴られた後で、住民に歩み寄り話をされる菅さん」を伝えたのです。

第18話【訪問】原発事故から41日目の福島 避難所
http://kanfullblog.kantei.go.jp/2011/04/20110430.html

そこには、避難所でたくさんの住民に会って説明を繰り返し、
住民の話を聞く菅さんが伝えられていました。批判するスタンスの
大手テレビが「そこは要らない」とカットした部分でした。

「大手メディアが伝えない視点を伝えられること」こそ、
「市民メディアがなせること」と下村さん。そこに、
「KAN-FULL TV」を「永田町の市民メディア」と示した背景が伺えます。

逆に言うと、下村さんのこの試みを通じて、私たちも
「大手メディアが何を伝えていないのか」それにより
「何がこの国の前進を阻み、雰囲気を悪くしているのか」
が、見えてきた気がします。
 
それは同時に、大手メディアで働く私自身にも
重くのしかかる現実と課題として、心に残りました。

・・・

そして、「市民メディアだからこそできること」の一つ、
「多様な情報を伝える」ことも、下村さんは実証しました。

菅政権が取り組んだ政策に「特命チーム」があります。
これは、ずーーーっと問題とされてきた「縦割り行政」を改善、
ある問題に関わりを持つ省庁をすべてチームメンバーにし、一丸で
解決しようという試みです(これも大手メディアはロクに伝えなかった)

その初めての試みが「硫黄島での遺骨帰還特命チーム」

第9話【戦後】 菅総理、硫黄島へ
        ―8分ドキュメント「遺骨帰還特命チーム」
http://kanfullblog.kantei.go.jp/2010/12/20101224.html

戦争関連のテーマは私のライフワークなので、
この回の放送はすごく印象に残っていました。

が、この放送を見た報告会の参加メンバーから、

「でも"これが特命チームの試みです"って伝えてしまうと、
そんな過去に亡くなった人のことやるより、今いる子供たちの
子供手当てとか奨学金問題とかを取り上げてよ!って言われて、
逆にイメージが悪くなりませんか?」
という声が上がりました(ありゃ)

その質問に対し、下村さんは「これはあくまで判断材料」と断言。
「菅政権の下で取り組まれていた試みを、ここでは幅広く取り上げる。
特命チームには遺骨帰還も待機児童解消(第5話もあるが、
それを見ていただいて、その政策がよいかどうかを、
見た国民に判断していただきたい」と話していました。

これぞ、大手メディアでは伝えない多様性ある情報

私自身、先日、本業で震災に絡むネタとして、
「震災で義援金が被災地に集まる中、一方で寄付金を事業に充てる
海外支援系NPOに募金が集まりにくくなって貧困国が困っている」
という視点を提案したのに対し、上司からあっさりと、
「今、そっちは伝えない方がいい」と却下された苦い経験をしたばかり。

できることなら、日本で「あれ」も「これ」も問題があるのならば、
まず「あれ」も「これ」も伝えることで、見る人に判断してもらう
大手メディアだって、もっと増えてもらっても良いと思いました。

それが、国民の情報に対する判断力を鍛錬することにもなり、
「メディアリテラシー」の養成にも繋がるのではないでしょうか。

・・・

いろんな思いを絡めて、2時間ほどの報告会は終了。

市民メディアとして、大手メディアとして、
また視聴者として、そして政府を支える一国民として

非常に考えさせられることの多い報告会でした。

下村さん、1年間本当にお疲れさまでした。

・・・

【ご参考】

■下村さんの著書
「マスコミは何を伝えないか――メディア社会の賢い生き方」

伝え手としても、受け手としても、為になる一冊です。

■下村健一さんの個人サイト http://www.ken1.tv/

■市民メディア「東京視点」 http://www.china.ne.jp/?Main/jindex.html

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