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ミツバチの羽音と地球の回転―鎌仲ひとみ監督のお話と共に

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10月29日。有機農業で日本一の占有率を誇る
埼玉県小川町の有機農家さん方の協力も交えて、
その近郊・埼玉県嵐山町にある国立女性養育会館(ヌエック)で
「Wミツバチ映画上映+鎌仲監督トーク」が開催されました。

「六ヶ所村ラプソディ」と並ぶ有名作・鎌仲ひとみ監督の原発映画、
山口県上関町で1982年から始まっている原発建設闘争を追いかけた
「ミツバチの羽音と地球の回転」 
そして、今、ひそかに危惧されている「ミツバチの衰退」を描いた
「ミツバチのメッセージ」の2本が上映され、その後で、
鎌仲ひとみ監督の映画解説、小川町のカリスマ有機農家といわれる
霜里農場・金子美登さんとのクロストークが行われました。

「ミツバチの羽音と地球の回転」は、東日本大震災の原発事故により、
ますます注目を浴びる作品になってきています。
そして舞台の山口県上関町は先月、震災後に原発建設の是非を問う
町長選があり原発推進派の現職町長が当選したことで、再び脚光を浴びました。

ストーリーは、この上関町長選挙で反対派として立候補した
山戸貞夫さん親子など反対し続けてきた町民の方々の活動の
密着を中心としながら、原発建設の経緯、祝島のことなど詳細に伝えています。


大きな地図で見る

ちなみに、ここが山口県上関町・祝島周辺です。
原発は、祝島の集落と海を挟んだ「田ノ浦」に建設予定です。

映画を見て、この町の人々が如何に長い間、
まだ作られていない「原発」に振り回されてきたかが伺えます。

また、映画の中でも少し触れていましたが、反対の先鋒である祝島は、
かつて日本の国策により、みかん栽培を行うようになったものの、
オレンジの輸入自由化によって値段が急落、みかん農家は離農し
島を離れてしまったという歴史もあり、日本政府に翻弄されてきた
苦い歴史を感じさせられます。現在の人口は500人弱です。

環境破壊や生態系の悪化など、貴重な財産を無くそうとする町。
しかし町の運営者は「金は欠かせないから」といって原発賛成。
では、祝島の人たちの経済活動はどうなるのさ?と問うと、
補償金出すから…って、だから金の話をしているんじゃないのに。

それだけでなく、建設推進VS建設反対、の奮闘状態に置かれ、
反対運動を定期的に行うようになった漁業、農業の皆さんは、
反対運動の日は仕事ができず、交通費もかけている。
それだけで、既に経済活動を阻害されているようなものです。

「原発というものに依存しないと、町は運営できないものなのか」
そんな疑問がわきあがってきました。祝島のメイン産業である、
漁業や農業で、今良く言われている「6次産業」構想を図るとか、
それにより「上関ブランド」を作るとか…そういうことはどうか?
と考えると即座に、「TPPに参加したら、難しくなる」という言葉…。

そんな感じで、映画を見ながら、色んな方面でぐるぐる物事を
考えてしまい、だんだんいたたまれなくなってくるようでした。

・・・

映画が終わり、鎌仲ひとみ監督の補足説明と、
金子美登さんとのクロストークがありました。

最初は、鎌仲さんの「放射能」「原発」に関するトーク。
白板を使いながら、詳細に説明していただきました。

その中で、最も力を込めていたのは「内部被ばくはない」の「嘘」。

偉い大学の先生達、今でも内部被ばくはないと言っているそう。
だけど、広島・長崎を経験しているお医者さんは、66年前の当時
既に内部被ばくで倒れていく市民の人たちを見てきたという。

福島第一原発の中で、今でも作業を続けている作業員の皆さん、
既に3名お亡くなりになっている。
それでも東電は「原発との関連性は証明できない」という。
3人目の死に至っては公開すらしなかった。

「内部被ばく」は、医学的にもその量などを図ることができないそう。
となると、偉い大学の先生も東電も、そろって
「原発が原因だっていう証拠はあるのか?」と反論しておしまい。
証拠を残さずに金を転がす政治家よりも、立派な「完全犯罪」である。

証拠がないから、テレビも新聞も発表されたものをそのまま、
「原発との因果は証明できない」としか発表せず、突っ込まない。
中国共産党の大本営発表を人民日報がするのと同じ。

そして最後に…と、白板に書かれたグラフは、95年~05年までの、
火力発電・水力発電・原子力発電の発電量と国民の電力消費量。

「このグラフを見れば、原発が要らないってことがわかりますね」
という折れ線は、火力・水力で発電された量の合計と、消費量が同じくらい
つまり、原子力で作られる電力量は余計な電気だったということ。

誰かがお金が欲しいから、原発を作らせてきた…
そんな背景がプンプンにおうのです。

現在、それを裏付けるデータを捜索中。

その後の、金子さんとのクロストークも興味深いものでした。
有機農業の視点で語る、放射能と食べ物の関連性、自家製エネルギー。

「日本の食料は、既に61%が開国している。
これ以上開国したら、日本の農業はどうすればいいの?」

祝島の人口が、オレンジ輸入の自由化によって減少した現実…
自由に輸出入ができることのメリット・デメリットはちゃんと把握し、
本当に必要かどうか、よくよく慎重に考えた方がいいですね。

原発と農業には、
放射能と農作物、原子力発電とバイオマスや森林などの再生可能エネルギー、
医療問題とTPP問題…。 共通項がたくさんあることを実感しました。

「ミツバチの羽音と地球の回転」公式サイト
http://888earth.net/introduction.html

鎌仲監督のもう一つの作品「六ヶ所村ラプソディ」を観たのは北京でした。
「ミツバチ…」は先日、韓国でも上映したそうなので、
今度は北京で公開していただけると嬉しいです。
http://koma.cocolog-nifty.com/emmy/2008/12/real-04ae.html


・・・

この先は、イベントに出てこなかった話なので
ちょっとした余談です。

もうひとつ、映画の一場面でも出てきた、
私がずっと関心を持ってきた「CO2排出」について。

「原発は、CO2を出さないので地球環境に貢献している」
これは、原発推進派が原発を是とする言い訳になっているけど、
超意味不明な言い訳です。

原発が最初に建設されたころは、CO2のことや京都議定書なんて
始まるずっと前なので、そこに関連して建設したなる動機などないんです。

なのになんで「原発はCO2を出さないから環境に良い」とか、
「CDMや二国間クレジットのプロジェクトに、発展途上国への
原発の輸出も入れたい」なんて議論が出てくるのか不明です。

しかも、震災で原発があんなにぐちゃぐちゃになった後に、です。

実際、原発から火力発電に発電手段を置き変えたことにより、
CO2の量は増えていると言います。某新聞の記事で環境省の
試算が挙げられていましたが、このまま日本で稼働している
原発を全部火力発電に変えたら、2020年の日本国内での
CO2排出量は、1990年比で+24%になると出ていたそうです。

鳩山元総理が、09年に「-25%を目指す」と国連で公言したのに、
その逆になってしまう、という訳でそれはそれで深刻です。

「オゾンホールが北極圏で発見された」との報道が出たばかりです。

中国や米国をはじめとし、CO2はどんどん排出されていますが、
日本も火力発電でCO2を増やしていることは、間違いないと思います。

だからこそ、クロストークで金子さんが仰っていたような
「再生可能エネルギー」や「森林のまともな活用」が求められます。
日本の国土の67%は森林で、地熱の力は世界第3位とも言われ、
日本は素晴らしい自然エネルギー大国。
素直に、原発を使わなくても、CO2を減らす手段はありまくりで、
クレジットだってたくさん国内で取得できる可能性はあるのです。

これまでの「原発神話」が全部を崩し、国家の税金を使って
外国の排出権を購入し続けてきたのです。
排出権は今の円高で、1トン(1CER)7ユーロと言われています。
排出権バブル期には、20ユーロ以上あったのでかなりな暴落です。
※2011年10月29日現在 1ユーロ=107.33円

購入する日本政府はちょっと助かったかもしれないけど、
それでも仮に1億トンを購入するとなると、751億円を支払うのです。
※実際に日本が減らさなければならない温室効果ガスは1億3000万トン。
すべてをCER購入に頼るとすると、1000億円近くを支払います。

これを国内で少しでもカバーできるようにするには、もう原発ではなく、
再生可能エネルギーの技術革新しかないのでしょう。
資源大国・技術大国、日本として、もう原発神話は棄てて、
早く切り替えた方がいいと思います。

映画を観て生まれてきた、いたたまれない気持ち、もどかしい思いは、
ずっと私の頭の中に、ミツバチのごとくブンブン飛び回っています。

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