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中国インディペンデント映画祭2011:私が観賞した3本は…

2011年12月3日~16日までの14日間にわたって、
東中野駅脇の「ポレポレ東中野」にて行われた
『中国インディペンデント映画祭2011』

映画というのは、テレビ番組よりも「ありのまま」を表現できる
映像ツールだと思っています。でも、いずれにしても情報統制の
厳しい中国という国では、社会問題などを表現することは
まず不可能だと思っていました。

そんな先入観を、この映画祭で取りあげた10本の映画は
見事に覆してくれました。

日本に住む中国人友人や、元中国在住日本人仲間の間で
話題になったのもありますが、その作品はどういう内容か、
どうやって、この統制が厳しい中国で制作することができたのか、
非常に興味を覚えたので、週末や平日昼間の空いた時間に
行ってきました。

私が見たのは、以下の3本。

・・・

『書記』

Shuji

あらすじ:中国の省や自治区に置かれ、全国で1500以上ある県。
その県において県長より高い地位にある共産党県委員の書記。
河南省にある固始県で区長から書記までを11年務めた人物の、
任期終了直前の3ヶ月間を密着したドキュメントには、陳情に来る
住民から、進出にくる海外の社長まで相手して多忙な日々を送る
書記の知られざる実態を通じて、現代中国の抱える深刻な問題が浮き彫りになる。

感想:最近、中国の辺鄙な街の郊外という郊外に、マンション群や
工業園区がボコボコ建っている話を聞いて気になっていたけれど、
この映画を見ると、その理由がわかってきました。
中国にいた時、田舎の町でこうした宴会を何回か経験した私は、
映像に出てきた皆さんの飲みっぷりや宴会の風景が懐かしくも・・・
監督の周浩監督は、主役の郭書記をどのように説得して、
あそこまでの密着取材を許してもらえたのか、気になりますね。

『ゴーストタウン(廃城)』 

Fch

あらすじ:雲南省の北西部の山中にある集落、政府の政策によって
廃村となり、捨てられたゴーストタウンである。しかしそこには、
昔から住み着いている少数民族の人々が当たり前の日常を過ごす。
朽ちかけた毛沢東の肖像を時々写し、
大自然に抱かれた廃村の不思議な町から、人間の本質が見えてくる

感想:標準語の字幕も欲しくなったほどの、少数民族・リス語が神秘。
四川大地震や東日本大震災の被災地を一緒にするのもなんですが、
「住めば都」どういう状況に追い込まれても、その土地を離れたくない
人々の気持ちが、何の加工もない素朴な映像に表れていました。

『天から落ちてきた!(天降)』  

P503935854

あらすじ:人工衛星の打ち上げが盛んな中国。四川省西昌の
衛星発射センターから上がるロケットは毎回残骸を地上に落とす、
政府は、その落下地点に湖南省綏寧県を選んでいる。
そのため、綏寧県の人々は打ち上げのたびに落下物の恐怖に
晒されており、過去には犠牲者をだしたことも…。
発展のために犠牲はやむを得ないという役人、打ち上げのたびに
避難する農民、そんな村人たちの様子をカメラは丁寧に写し撮る

感想:これもまた、驚くほどの密着ぶり。北京五輪に人工衛星と、
表向きではどんどん発展する中国、しかし一方で破片の落下に
おびえ、五輪のために電力を止められ仕事を奪われる国民。
このギャップは、まさに今の中国を表しています。

・・・

そして、「天から落ちてきた」「ゴーストタウン」を観賞した日は、
この映画祭の主催者・中山大樹さんを司会に、トークショーを行いました。
制作の舞台裏を伺いたかった私としては、嬉しいイベントです。

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(写真右から:中山大樹さん・劉健監督・張賛波監督・通訳さん)

残念ながら、劉健監督の「ピアシングⅠ」は見られなかったのですが、
インディペンデント映画祭の中でも稀な?
「中国で売れた作品?」のようで、それなりの収入を得ているそうです。
中国のアニメーション作品が、受け入れられることはすごいと思いました。

そして、張賛波監督は、私が上記3本の中でも最も考えさせられた
「天から落ちてきた!」の監督。北京オリンピック前後から、
湖南省のこの村に足繁く通い、かなりの数の村人を取材しています。

相当な取材力、そこに一途な根性を覚えました。

この作品を作ったきっかけは、張監督自身が湖南省の出身であることから
地元のニュース番組に出た小さなニュースを見つけたことから。
こういう事実があることに、何気に魅かれた監督は足を運び、
村人たちの信頼関係を築きながら、細かい取材を実現させたそうです。

農民、工場経営者、犠牲となった女性の両親、役人・・・
その中で、
「どうやって役人のコメントが撮影できたのか」と会場から質問が出た時の
彼の回答、
「最初は怖かったので、スイッチを入れてカメラを机に置いておいたら、
あまり関心を示さなかった」「途中で手に持って色んな角度で撮りだしたけど
それも何もとがめてこなかったので、撮ってしまった」とサラリ。

『書記』の主役になった書記さんもそうだけど、地方の人にとっては、
映像機器になじみがないのか、映像機器が回っていると、
それがどんな所に波及するかが、まだよくわからないのかもしれません。

ひょっとすると、映像で社会問題を問うことができる、
絶好のタイミングが、今のこの時期かもしれませんね…。

さて、そんな張監督ですが、ピアシングⅠの劉監督と違い、
出来あがった映画は中国でもひそかに水面下の映画祭や
海外のこうしたインディペンデント映画祭でしか上映できないという現状。

すると、まとまった収入に至っていないという現実があります。

こうした中、果敢にも次回作を企画中。
その製作費のために、あるものをオークションに出しました。

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実際に、天から落ちてきた人工衛星の破片です!!
翼の形をしているので、「翼」と名付けたそうです。

残念ながら、この数時間で買い手は現れなかったようですが、
応援できる方、応援買いいかがでしょうか・・・。

・・・

ともあれ、こうした中国のアンダーグラウンドでメッセージを
伝え続ける人がいることに、一縷の望みと希望を感じた映画祭。
主催の中山さん、お疲れさまでした。

「2011」というからには・・・来年も期待しています。

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