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万里の長城遭難…心がけたいこと(2012年11月の話)

2012年11月4日。

夕方辺りから、自身のこのページへのアクセス数が急増した。

北京近郊の長城『箭扣長城』で落雷死事故!!?(2009年6月15日)
http://koma.cocolog-nifty.com/emmy/2009/06/post-828b.html

今回の事故現場は、こちらの長城とは違いますので、
検索された皆様誤解のなきようにお願いいたします。

さて、そんなアクセス数急増のきっかけになったのは、
ここ数日にぎわせているこちらのニュース。
ある旅行会社が企画した万里の長城トレッキングツアーで
日本人4名を含む5名が遭難し、3名が命を落とした事故。

Twitterで、こちらの他の記者の方が細かく実況してくださったので引用。
52年ぶりの大雪 救急車立ち往生 万里の長城遭難地域(2012年11月5日)

進路阻まれる中、懸命に現場へ駆けつけた奥寺記者、お疲れさまでした。

事故の現場は、北京近郊…厳密に言えば河北省張家口市懐来県の
未整備だった長城、いわゆる通称「野長城」。
日本人にとっては「ワイルドな長城」という方が分かりやすいか(?)

私は、この長城に行ったことがないのですが、映像を見る限り、
事故の起きた長城は、観光地としては整備されておらず、
むしろ本格的な「登山」で、尾根に長城が残っていた…程度ではないでしょうか。

でも、人がわんさか来る八達嶺など観光地の長城では物足りない、
「ワイルドさ」を残す旅行や登山を好む人にとっては、
こうした長城を訪れる方が楽しいと感じることは想像に難くありません。

しかし、こうしたワイルドな長城には、ちょっとした落とし穴が…。

1.気候・天候が厳しい

北京市街地含むこの地方は、ほぼ毎年11月の頭に初雪が降ります。
気温は北海道札幌市よりも冷え込み、
氷点下20度にも30度にもなることさえあります。

また、事故の起きた長城の近くには、北京近郊の人の間で
有名なスキー場もある。ひとまず雪もそれなりに降る場所で
あるのです(最近は、雪不足で人工雪という話だが…)。

まして山の天気は変わりやすく、突然スコールが降ったり
雪が降ったり、ということは、全世界どこの山にも共通することでしょう。

2.インフラが日本より未整備

「中国はまだ、発展途上国」という言葉も残すように、
日本と違って、交通も通信も電気水道などのインフラも、
田舎に行けば行くほど、揃っていません。
何かあっても、すぐ近くに助けを求めるとか、ということは、
日本の山よりも不便と思って言った方が良いでしょうか。

こうした情報をしっかり念頭に置き、余分でもいいから、
防寒具を用意しておかないと、本当に凍死すると思います。

では、長城登山のスリルを、最後まで楽しいものとするためには、
どういうことを心がければいいのか…。
以下はあくまで私の経験談ですが、今後長城へ行く人はご参考ください。

fuji fuji fuji

私は北京に滞在していた4年半の間、長城が好きで、
5000キロある中国大陸の長城を20回くらい訪れました。

東は海に突き刺さった秦皇島市の山海関(2007年7月)から、
Mizu

西は甘粛省敦煌付近の嘉峪関まで(2010年4月)
Kayoku
http://ameblo.jp/emmybbc/entry-10516947618.html

中には、原型を留めていない、
寧夏回族自治区の「明代長城」も(2007年5月)
P1150121_2
http://koma.cocolog-nifty.com/emmy/2007/05/2_39c8.html

どれも、ちょっとスリルはあったけど、春から夏に訪れているもので、
交通が不便なだけ、時間に余裕を持たせていました。

結構、「朝、家を出て、昼、散策して、夕方、町に戻る」
程度の予定しかこういうときは入れていませんでした。
(その後、打ち上げに飲みに行くとか、そういう話は別として・・・)

…言葉の問題や交通など様々な要因で危険を感じたこともあったけど、
そんなスリルをむしろ楽しむ程度で帰って来たものでした。

fuji fuji fuji

今回の事故、以下の3つの点で残念に思います。

まず、参加された方々はメディア記事を拝見する限りですが、
シニアの方とはいえ私以上にアクティブで体力もあり、
世界中の様々な秘境に挑戦してこられていると書かれていました。
私よりもはるかに、山登りを楽しんでいらした方で、
おそらく、中国の万里の長城も楽しみにされていたのかと思います。
…そんな楽しみを一瞬にして奪われ、犠牲になられたのが残念です。

そして、今回日中関係を考えても、こういうことを考えてしまいました。
9月の反日デモの影響で、お互いの国への観光客は激減。
そんな中にも関わらず、「中国に行こう」という考えてくださったことは、
少なくとも私には、嬉しい話だったと感じています。

ひょっとすると、日本語ができるガイドの中国人の方との間には、
「中国とはいろいろあったけど、私は中国が好きだよ」
「僕も、日本が好きです」
などの会話が、
数日間の間に一度でも交わされていたのではないかと…。

そうした方々が、命を落とされたことは、本当に悔やまれます。

最後に、なによりも、

私が好きな長城で犠牲になられたということ。
あの舞台から感じる素晴らしい景色と悠久のロマン…
本当に、中国が一番に誇っても良い歴史と世界遺産なんです。
出来るだけ多くの人にあのスポットは楽しんでいただきたいと
今でも思ってやまないファンの一人として、

本当に、皆様のご冥福を、お祈りするばかりです。

そして、ご無事だったお一人の方も、おそらく一度は、
「一人だけ生き残ったことが、辛い」
「みんなで一緒に帰りたかった」と、思われているかと察します。
でも、ご家族や友人の方は、
生きていらしたことにきっと感謝しているでしょう。

今回のことを乗り越えて、
いつかまた、好きな登山を再開していただければと思います。

・・・

ちなみに、5日以降、以下の長城に関する記事へのアクセスもありました。
いずれも、今回の事故が起きた長城とは違います…。

ぶらり北京バスの旅―水に沈む長城を求めて(2009年6月3日)
http://koma.cocolog-nifty.com/emmy/2009/06/2-58d7.html

黄花城-水に沈んだ長城へ(2008年5月21日)
http://koma.cocolog-nifty.com/emmy/2008/05/post_ded3.html

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