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『マルティニークからの祈り』で思い出した海外暮らし

重たーい海外の社会派映画を観に行くことが多い私ですが、
週末に観に行ったのは最高級に重い映画でした。

その映画は 『マルティニークからの祈り』 

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【大まかにまとめたストーリー】
困窮した家庭を救うために旦那の友人から持ちかけられた
「金の原石」運びを引き受けた主婦。
しかしそれが実は麻薬だったことでパリの空港で、逮捕。
麻薬関連の罪で、言葉も通じない仏領・マルティニーク島の
刑務所で過ごし、釈放されるまでの2年間を描いた作品。

その事件で、解決を遅らせたのは、韓国語しかできない主婦が、
フランス語の人たちとの間で言葉が通じず
話が進まないことと、
駐仏大使館で働く自称・エリート大使館員達の怠慢

通訳派遣の願いには“税金使ったら批判が来る”と拒む癖に、
お上の来訪には三ツ星レストランを弾む。
書類の管理が疎かだった癖に、それを棚に上げて
「フランスって国は…」とフランスを見下す。挙句には、
「エリートの我々が間違うはずがない」と逆切れ。

見ていて、一番イライラするところです。
でも、こうして裁判が進まない中、
夫の友人たちがネットの“口コミ”でこれを暴きはじめ、
テレビが取材に来て世に広め、解決へ導いていくのです。

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韓国の実話をもとにした映画というのに、
観ていると、とても異国の映画とは思えない印象を受けました。
これ、日本にもあり得る話です。

日本人でも、こうした事件で逮捕されたというニュースを
時々見ますが、中でも私の記憶に残っているのは、
旅行先のマレーシアでカバンをすり替えられ、その先の
オーストラリアまで気付かず麻薬を運搬していた日本人が、
10年近くオーストラリアの刑務所に収監されたという話。
私がそれを知ったのはテレビのドキュメンタリーだった…。

その番組の中でも、英語が話せず誤解が広まったり、
オーストラリアの裁判は長い、というシーンがあったけど、
裏で大使館はどう対応していたのだろう?という疑問が
残ったことを思い出した。

併せて記憶に蘇ったのが、北京で暮らしていた時のこと。
大使館が在外邦人を完璧に把握できない理由として、
少し擁護するならば、北京の日本大使館でも留学生など
大使館に在住届を出さない人がたくさんいることです。

離島など辺鄙な場所なら尚更、突然の逮捕者に、
現地のに通訳を送ってと言われても、彼らも困るだろう。
海外で暮らすことになったら、身の安全のためにも、
こうした時にお役に立てる可能性も考えて、
国民として届けを出しておくことも大事だと思いました。

しかし、大使館には、それ以外にも方法はあったはず。
「ならば職員を送る」とか「本国から通訳頼む」とか。
そう思うと結局、エリートかどうかでなく、人として、
「どこまで邦人のことを考えているのか」も大事ですね。

また、映画の中で「逮捕者救出にこっちが動いたら、
国民から“税金の無駄遣いだ”と言われる」
と、
大使館職員が蹴散らすシーンがあったけど、
これもまた、日本で起きたある事件を思い出しました。

10年前、イラクで拘束された邦人3人が、
無事日本へ戻って来た時の、国民の反応。

あのきっかけも、当時の偉い人が会見で
「自己責任」と言う言葉を発したら
各メディアがそこをクローズアップしてしまって、
国民の間に「税金を使うな!自己責任だ!」という
空気が流れてしまったもの。

偉い人の外交には多額の税金を投入してもよくて、
1人1人の国民が海外へ行き、万が一の確率で何かが起きると、
いかにも「海外へ国民が行くこと自体が迷惑行為」
という雰囲気が流れてしまう、悪循環を覚えつつあります…

事件や逮捕など、確かに巻き込まれた
本人達に責任はありますが、その信ぴょう性の確認含めて、
調査の意味でも会いに行き話を聞くぐらいは大事でしょう、
それに対して国民は「税金がー!」とは言わないと思いますので。

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話がそれたので、戻します。

ここのところ、日本と韓国は関係悪化もあって、
“韓国とは似て非なるもの”と思っていたけれど、
この映画を観たら、逆に似ていないようで似ている
共通点がいろいろあると感じました。

たとえば、
1)黄色い肌のアジア人であること、
2)言語が独特であること、
3)だからか欧米言語に弱いこと、
4)だからか閉鎖的なこと

そして、
5)だからか異国を見下した発言すること

これ、北京に来た高齢者の日本人団体ツアー旅行者が、
長城のレストランで中国人従業員に向けていた態度と
「どうせ通じない」と思って発していた罵詈雑言を聞いて、
感じたのですが。

日本も韓国も先進国だと思っているのでしょう。
そして、先進国のアジアにある律義さや真面目さと、
大陸や欧州などにある、ルーズさや狩猟民族さが、
自分たちより下に見えてしまうのかもしれません。

この映画から色々考えさせられました。

私も、肝に命じます…

実話、というだけに、
実際に海外と関わって来た身として実感した話が
色々と思いだされました。
でも、海外へ行ったことのない人にも必見の映画です。

『マルティニークの祈り』 http://martinique-movie.com/
上映している映画館が少ないことが残念です…

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