春運(春節の帰省ラッシュ)の思い出…
中国などアジア数カ国では、
元旦よりもメインのお正月・春節)がやってきます。
2014年の春節は、1月31日。そして毎年2週間前から、
中国大陸では帰省ラッシュ(春運)が始まります。
中国の人たちの、帰省への執着(情熱!?)は、すごいです。
報道によると今年の帰省ラッシュは、
春節の1週間+その前後2週間の5週間で、
のべ36億人が中国大陸を移動すると言われています。
この数字、過去最高なのだとか。
中国の人口の3倍、日本の人口の30倍ですか!?
ともあれ、私が中国に住んでいた頃も、
これほど多いかわかりませんが、
駅もバスターミナルも、目的地を急ぐ人達で、
ごったがえし、すさまじい切符争いが繰り広げられていました。
今は、ネットが発達してきたので、一部は
ネットでチケットも購入できるようですが、
私の経験していた頃は、直接駅やバスターミナルの窓口で
購入するしか方法はありませんでした。
そして、お金がなかったり、切符獲得競争に
敗れた人は、「無座(席なし・立ち乗り)」を手に、
今度は余っているスペース取り(もしくは、ちゃんと確保できた
人の席を奪うか、“ハンケツ”交渉するか)に走ります。
強くなければ生きられない修羅場を味わったものです。
(そこまでして、彼らを帰省へと駆り立てるのは何でしょう…)。
その修羅場で、思い出したことがひとつありました。
それは母がまだ、若い頃・・・(無縁坂とは違います)。
母「まだ小学生だった頃ね、列車で銭函まで海水浴へ行くと
父さん(つまり私の祖父)が子供たちを列車の窓から
中に放り込んで、席取りさせたものだったんだよ」
私「へー、その頃子供じゃなくて良かったあ」 →むごい子供
母「昔は大変だったんだよー、なんでも」 →遠い目
その瞬間、私の頭の中には幼い頃の母や叔父たち、
そして他の家庭の子供たちが、親の手によって
窓からポイポイ放り込まれていく光景が浮かんだものである・・・。
ま、この話は所詮、第1次ベビーブーム後の昭和30年代である上、
舞台もキタ田舎・札幌という所なので、
赤くてでっかいタワーが建つような東京などではありえなかったろうし、
この時代にこの風景を見ることはもうできないだろう。
と、思っていた・・・
が!
私は現代世界にありながら、
この光景を中国で見てしまったのである!!
それは、2007年の春運はじめの頃。
杭州駅でのこと。南京行きの列車が到着し扉が開くやいなや、
「無座の席とり争い」が始まりました。
列をなしているにも関わらず入り口に殺到する大群、
その大群に加わらず窓から荷物を放り込む人々に交じり、
自分自身を窓から突っ込んでゆく若い女性の姿を・・・!
かあさん、僕は今、杭州にいます・・・
杭州で、かあさんの思い出に出会うことができました・・・
そんなノスタルジックな手紙が、遠く離れた異国の地にある
心のポストに、密かに投函されたのでした。
注:銭函【ぜに-ばこ】
北海道札幌市と小樽市の間にある海辺の町。
私はこの話を聞いた時、この街には銭が一杯詰まった箱が
豊富にあるリッチな街だと思っていたが・・・違うようである。
今は、どうなんだろう…中国旧正月の風景。
帰省ラッシュと爆竹は、健在だと思いますが…
※爆竹の音が大きいので、ご注意ください。
でも逆に、こうした光景が中国からなくなっていたら、
むしろ寂しいかもしれない・・・
と勝手な郷愁を覚える春運の出来事でした。